「NOと言わせない企画書の書き方・つくり方」

ビジネスでの交渉や社内/社外のプレゼンテーションで確実に必要になる企画書の、書き方や構成の仕方の本です。

この本は、具体的です。本の中心は、第4章の具体的な企画書の書き方・構成の仕方を中心に構成されていると感じました。

これを中心として他の事が章ごとにまとめられており、他章でとくに重要なものは、企画書を用いたプレゼンテーションの技法(第5章)、実際の企画書の様々なサンプル(第7章)、企画書を実際に書く時にチェックする5つのポイント(第3章)、だと思いました。

実際に企画書を書いた事がない人にとって、第4章と第7章はとても参考になると思います。

たとえば第4章では、色々な企画別に、企画書の各ページで書く項目がまとめられています。

例えば商品企画であれば、1ページ目がタイトル、2ページ目がはじめに、3が前提条件、4が現状調査分析、6が商品コンセプト…といった具合です。

商品企画以外にも、「販売促進企画」「広告企画」「飲食店店舗計画」など、さまざまな企画書のフレームワークが示されていて、大変に実践的で便利でした。

また、第7章では、そのフロー図だけでなく、具体的な企画書の図例なども出ていますので、どのようにレイアウトするかなども分かり、たいへん実践的な本だと思います。

旅の終わり「我が聖域に開け扉」

本作は、秋田禎信先生の小説です。「魔術士オーフェン」シリーズの二十作目。いわゆる第二部の、終焉に当たります。

 

姉を探す為に始まった主人公・オーフェンの旅は、姉の最後と共に、ここで終わりを迎えます。

師を殺してしまった償いの為、彼の悲願を叶えた姉・アザリー。それは魔王の力を召喚し、それを使って世界の破滅を回避すること。

文字通り命がけで目的を果たした姉を、彼女を追い続けた弟は、静かに見送ります。

 

そして因縁の強敵、ジャック・フリズビーとの最後の戦い。

ほとんど魔術を使わず、拳法の打ち合いというのが、何とも本シリーズらしくて、良いですね。名物の精緻なバトルは、ますますスピード感と迫力が増して、極まった感があるほど。

意識を身体が追い越していく感覚に、研ぎ澄まされたオーフェンの強さが感じられて、もう堪りません。

そして初めて過失ではなく、覚悟を持って、他人の命を奪う主人公。

殺人がもたらすモノの重さを知った上で、それを受け入れる姿に、諦念と空しさを感じます。

あんなに、殺せない主人公だったのに……。

彼以外にも、仲間のマジクやクリ―オウも、それぞれに変化や覚悟を迎えます。

「絶望」がテーマの、重く陰鬱な第二部。終盤でオーフェンが、絶望するクリ―オウに叫んだ言葉が、彼が掴んだ答えなのでしょう。

最後まで諦めないオーフェンは、不完全な部分もありながら、やっぱり主人公だなあ……と、しみじみ素晴らしいと思いました。

人情にホロリ「隠し金の絵図 風車の浜吉・捕物綴」

「風車の浜吉」シリーズの、第二弾です。伊藤桂一先生著。

訳あって、かつて五年、江戸を離れていた御用聞きの浜吉。

馴染みの根津に戻り、風車を売りながら、目明かし稼業を再開しました。

頼もしい子分の留造に銀、良い仲間や上司にも恵まれて、腕利き親分の力を発揮する浜吉。

五年間の放浪で得た、知識や技能も大いに事件解決に役立っています。

短編集で、表題作はかつての盗賊に絡む謎解きです。

浜吉の元に届いた手紙は、かつて活躍した盗賊・つばくろの遺言状。

悪徳商人から盗んだ金を、貧しい者に撒いた義賊・つばくろは、正体も何も謎のままに、姿を消しました。その正体は、なんと浜吉が助けた子供の父親

そのお礼に、死ぬ間際にお宝の在りかを、手紙で浜吉に知らせたのです。しかし一筋縄ではいかず、宝の地図は暗号仕立て。

謎を解かねば、お宝は行方知れずのままです。浜吉と仲間が知恵を絞り、お宝探しに奔走します。

殺しもなく、穏やかな読後感の一作。娘を助けられたことがキッカケで、盗みを止めたつばくろ。自分が追う相手の身内とは知らずに、子供を助けた浜吉。

人情がいつの間にか、人を動かしている……浜吉達の人柄もあり、安心して読める捕物帖です。「金の欲しい気持ちは、泥棒も役人も同じ」という述懐にも考えさせられます。

 

堀江貴文さんの著書『本音で生きる』が後押ししてくれる

いつも話題となる堀江貴文さんの本ですが、タイトルに惹かれて読んだのが『本音で生きる』(SB新書)です。著者には、変わりゆく時代の寵児ともいえる面もあって、新しい時代の生き方の参考になります。

この本音で生きるというのも、これまでの社会では本音と建前を使い分けてきた風潮があったことからすると小気味いい生き方だと思います。言いたいことを言ったり、他人のことを気にしないというあり方を心のどこかでずっと望んでいたからかもしれません。

もはや確かなもののない時代になり、自分まで不確かなものにしないために、決して他に振り回されないという主張が印象的な一冊でした。そのための考え方や人間関係・時間の使い方について書かれているのですが、基本は言い訳をしないで自分のやりたいことをすぐにやる、ということにつきるようです。

実際に、堀江さんのアドバイスで、猫ひろしさんがカンボジア国籍をとり、オリンピックのマラソンの代表になって出場を果たしたというエピソードは面白かったです。本に書かれているノリのよさでチャンスをつかむというのも今はよくわかります。今の時代の変化についていくには、長期的なビジョンより、その時々ですぐ行動するのが大切なのですね。

本音で生きられない理由が「自意識」と「プライド」にあるというのも納得できます。本書では、これからのビジネスの基本的な考え方にも触れられていて、いろいろ試してみようと思っています。

猫好きなら絶対読むべき!旅猫リポート

これは、悟という青年が、飼い猫のナナの新しい飼い主を捜すために、古くからの友人たちを訪ねて行くというお話です。

ただ、ナナのことが本当に大好きな悟が、新しい飼い主を探さなければならないという時点で、物語の結末は大体予想できてしまいます。

でも、そんなことでは、この物語の魅力は失われません。

この話は、ナナと登場人物の目線で話が進んでいくのですが、面白いことに、最もよく出てくるはずの、悟の目線で書かれている箇所はありません。

小学校、中学校、高校のそれぞれの友人と、叔母の目線で、当時の悟とのエピソードが書かれているのですが、この悟がとにかくいい人。

それが、それぞれの友人目線で書かれる当時のエピソードを通して伝わってきます。

悟の言動は、相手の心に重くのしかかっているようなことを、ふっと軽くしてくれるのです。

猫好きにお勧めしたい理由は、ナナ目線で書かれる箇所にあります。

ナナ目線で書かれる文章を読むと、つい、有川先生は、猫の気持ちが本当にわかるのかもしれないと思ってしまいます。

ナナの態度はまさにツンデレ

素直じゃないのに、悟のことが大好きだとバレバレで、本当に可愛いです。

猫を飼っている方は、自分も飼い猫にこんなふうに思われたいと思うのではないでしょうか。

特にラストはずるいです。

結局、引き取り手が見つからず、叔母の法子のところに一緒に行くことになるのですが、ここから、最初に予想できてしまった物語の結末が確信に変わります。

悟の運命を知った時の、ナナの取った行動が泣けます。

悲しいのに心温まる、そんな一冊です。

文春文庫の司馬遼太郎著の竜馬がゆく全8巻

坂本龍馬の人生を描いた全8巻の長編小説です。

江戸から明治に時代が移ろうとする社会の潮流のなかで、坂本龍馬を中心とした様々な人々の今までの価値観世界観から脱却し、新しい世界を切り開こうとした人々の葛藤や衝突、それにまつわる人間模様が描かれ、人間味をあちこちに感じる小説です。

坂本龍馬のバカにされた少年時代、それを包み込む母親の優しさと親子の信頼感は今の時代とは違った形とはいえ、本質的には変わらない母の愛情を感じます。

龍馬はバカにされながらも人を嫌いになることはなく、人に寄り添いながら、必死でもがき苦しみながら、自分が何をなすべきかを自分に問い続けたことが想像でき、本来、人が生きていく本質がそこに見え隠れし、その中にも、滑稽な行動も多々見受けられ、人間性あふれる言動が生き生きと描かれています。

青年期に入り、今では維新の志士の代表格として論じられている龍馬が頭角を現し、それまでの日本にはなかった価値観を具現化するために奔走する姿には、今の時代で言えば、ITの普及による社会の変革を先導してきた様々な技術者の方々や経営者のような方達とダブりました。

龍馬の当時としては理解され難い価値観に対して他人が冷ややかにバカにしても、「人はなんともいわば言え、我なすことは我のみぞ知る」と手記に残している通り、自分を戒め納得させていたことにもなんとも人間性を感じます。

自分の信じた道をがむしゃらに生きた一人の人間の人生模様に感銘を受けるとともに、今生きていたら今の日本をどう思うのだろうと想像してしまいます。

墓地を見おろす家 は寝る前に読んではいけない

小池真理子さんの墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫)を寝る前につい読んでしまいました。

小池さんの本は、面白いので途中でやめられないことは、わかっていたんです。でも、たまたま枕元にあり、たまたま手にしてしまいました。

内容は、日当たり良好、商店街も近いいうことなしのマンションをみつけた若い夫婦の話なんですが、ただひとつこのマンションには欠点があった。それは…。という話なんですが、欠点とは、墓と火葬場に隣接していたから、なんです。

お墓の隣のマンションなんて、ふつう敬遠しますよね。でも、この若夫婦はそこはえいっと飛び越えて買ってしまったのです。

そうしたら夜な夜な起こる怖い現象。わたしはとても怖がりで、夜にひとりでトイレにいけないので、この小説は昼に読むべきだったと、少し読んだら悟りました。

しかし、やめられない。ついつい、ページをめくってしまいます。

推理小説は、謎解きが面白くて一気に読んでしまいたい。この本を読んだときも、そうなってしまって、やめられませんでした。

ラストのガラス窓に手がペタペタたくさんついたシーンは、最高に恐怖でした。

しかしこの小説は、アマゾンでは酷評されています。たしかに、小池さんの小説は、ラストが拍子抜けしてしまいます。

ムラのある小説をかく人なんです。読後感は恐怖だけでした。