猫好きなら絶対読むべき!旅猫リポート

これは、悟という青年が、飼い猫のナナの新しい飼い主を捜すために、古くからの友人たちを訪ねて行くというお話です。

ただ、ナナのことが本当に大好きな悟が、新しい飼い主を探さなければならないという時点で、物語の結末は大体予想できてしまいます。

でも、そんなことでは、この物語の魅力は失われません。

この話は、ナナと登場人物の目線で話が進んでいくのですが、面白いことに、最もよく出てくるはずの、悟の目線で書かれている箇所はありません。

小学校、中学校、高校のそれぞれの友人と、叔母の目線で、当時の悟とのエピソードが書かれているのですが、この悟がとにかくいい人。

それが、それぞれの友人目線で書かれる当時のエピソードを通して伝わってきます。

悟の言動は、相手の心に重くのしかかっているようなことを、ふっと軽くしてくれるのです。

猫好きにお勧めしたい理由は、ナナ目線で書かれる箇所にあります。

ナナ目線で書かれる文章を読むと、つい、有川先生は、猫の気持ちが本当にわかるのかもしれないと思ってしまいます。

ナナの態度はまさにツンデレ

素直じゃないのに、悟のことが大好きだとバレバレで、本当に可愛いです。

猫を飼っている方は、自分も飼い猫にこんなふうに思われたいと思うのではないでしょうか。

特にラストはずるいです。

結局、引き取り手が見つからず、叔母の法子のところに一緒に行くことになるのですが、ここから、最初に予想できてしまった物語の結末が確信に変わります。

悟の運命を知った時の、ナナの取った行動が泣けます。

悲しいのに心温まる、そんな一冊です。