旅の終わり「我が聖域に開け扉」

本作は、秋田禎信先生の小説です。「魔術士オーフェン」シリーズの二十作目。いわゆる第二部の、終焉に当たります。

 

姉を探す為に始まった主人公・オーフェンの旅は、姉の最後と共に、ここで終わりを迎えます。

師を殺してしまった償いの為、彼の悲願を叶えた姉・アザリー。それは魔王の力を召喚し、それを使って世界の破滅を回避すること。

文字通り命がけで目的を果たした姉を、彼女を追い続けた弟は、静かに見送ります。

 

そして因縁の強敵、ジャック・フリズビーとの最後の戦い。

ほとんど魔術を使わず、拳法の打ち合いというのが、何とも本シリーズらしくて、良いですね。名物の精緻なバトルは、ますますスピード感と迫力が増して、極まった感があるほど。

意識を身体が追い越していく感覚に、研ぎ澄まされたオーフェンの強さが感じられて、もう堪りません。

そして初めて過失ではなく、覚悟を持って、他人の命を奪う主人公。

殺人がもたらすモノの重さを知った上で、それを受け入れる姿に、諦念と空しさを感じます。

あんなに、殺せない主人公だったのに……。

彼以外にも、仲間のマジクやクリ―オウも、それぞれに変化や覚悟を迎えます。

「絶望」がテーマの、重く陰鬱な第二部。終盤でオーフェンが、絶望するクリ―オウに叫んだ言葉が、彼が掴んだ答えなのでしょう。

最後まで諦めないオーフェンは、不完全な部分もありながら、やっぱり主人公だなあ……と、しみじみ素晴らしいと思いました。