ダブル主人公ファンタジー「エンジェル・ハウリング」

本作は、秋田禎信先生の小説です。

全十巻ですが、面白いのは奇数巻と偶数巻で、主人公が異なること。

奇数巻の主人公は、ミズーという二十歳の女性。

偶数巻の主人公は、フリウという十四歳の少女です。

精霊が存在する世界で、必死に何かを探す、彼女達の物語です。

連れ去られた養父を追う、フリウの物語も読みごたえがありますが……私は、双子の姉を追いながら、忘れていた自分を思い出す、ミズーの物語が特に好きです。

ミズーは深紅の髪を持つ、暗殺者の女性。

ある目的から、幼少時より、殺人技術だけを叩き込まれて育ちました。

自由になっても、知っているのは殺し方だけ。

そんな彼女の前に現れた謎の存在・アマワは、双子の姉が死んだと告げます。そして姉・アストラの契約は、ミズーに譲渡されたと……。契約とは何なのか。アストラに何があったのか。

ミズーは手がかりを求めて、大きな陰謀に巻き込まれていきます。

謎の青年アイネストや、彼女と同じ境遇のジュディア。そして、鍵を握る退役騎士と、その養子フリウ。

彼らと出会い関わることで、彼女は忘れていた、人間らしい感情を掴みとっていきます。そして終盤、辿り着いた場所で待っていたものは……。

フリウ編は「信じること」、ミズー編は「愛すこと」について、真摯に描いている物語です。難解で重いテーマ、独特の文体で取っ付きにくさもありますが、途中から癖になりました。少なくとも、私は……。

秋田先生の描く、タフで物騒で、どこかズレている女性が堪能出来ます。